感覚統合とは?
子どもの発達を支える感覚と遊び

「どうして、うち
の子は……?」
そんな気になる
様子は
ありませんか?

  • 子どもがよく転ぶ、姿勢を保つのが苦手
  • 手先が不器用、音や触られることを嫌がる
  • 言葉がなかなか増えず、意思疎通が難しい
  • 保育園や幼稚園で「落ち着きがない」「集団行動が苦手」と言われた

「頑張ればできること」と思っていたその行動も、実は感覚の受け取り方や身体の使い方が関係しているかもしれません。

そこで知っておきたいのが、「感覚統合」という考え方です。

今回は、作業療法・感覚統合を専門とする伊藤祐子先生に、子どもの「気になる行動」をどう捉えればよいのか、感覚統合の視点から伺いました。

伊藤祐子先生

伊藤祐子 先生

東京都立大学 健康福祉学部 作業療法学科
東京都立大学大学院 人間健康科学研究科 作業療法科学域 教授

感覚統合とは?

感覚統合の訓練に使用する遊具のある部屋

私たちは日常生活の中で、目で見る、音を聞く、触れる、身体を動かす、身体の傾きや位置を感じるなど、さまざまな感覚情報を受け取っています。それらの情報を脳が整理し、必要な情報を選び、適切に身体を動かしたり行動したりすることにつなげる働きを、「感覚統合」と呼びます。

例えば、身体のバランスを取る、姿勢を保つ、道具を使う、友達の動きを見て真似するなど、こうした日常の何気ない行動にも、さまざまな感覚情報が関係しています。そのため、「運動が苦手」「不器用」という一見すると別々の困りごとの背景に、感覚統合に関する発達の特徴が関係している場合もあります。

つまり、感覚統合は「日常生活の動作」から周囲とのコミュニケーションまで、すべての「生活を支える重要な土台の一つ」となっているのです。

発達のピラミッド: 生活力(学習、運動、友達とのコミュニケーション、日常動作)、身体機能(自分の体のイメージ、左右の使い分け、姿勢の保持)、感覚(重力・触覚・固有覚など)

だからこそ、子どもの行動を見るときには、「できる・できない」だけで判断するのではなく、その行動の背景にどんな感覚や身体の使い方が関係しているのかを考えることが大切です。

「困った行動」と決めつけるのではなく、その子の身体や感覚の特徴を知る。それが、その子に合った支援を考える第一歩になります。

保護者が気づきやすい
「感覚統合のサイン」

では、どんな様子があるときに、感覚統合という視点を持つとよいのでしょうか。

伊藤先生によると、きっかけの一つになるのは、「本人はやろうとしているのに、思うようにいかないことが続く」という場合です。「頑張っているのに、なぜかうまくできない」「同じ年齢の子はできているのに難しそう」と感じることはありませんか? その背景には、身体の感覚や情報の受け取り方が関係している場合があります。

感覚統合のサイン

  • よく転ぶ

  • 大きな音や特定の音を
    極端に嫌がる

  • 姿勢を保つのが
    苦手

  • 特定の場所に入ることを
    嫌がる

  • ダンスや模倣が
    苦手

  • 触られることを
    嫌がる

  • 箸などの道具が
    使いにくい

  • 偏食が非常に強い

これらはあくまで「気になる様子」の一例ですが、これらの様子にはさまざまな要因が考えられ、様子が一つあるからといって、感覚統合の問題があると判断できるわけではありません。

子どもの発達は一人ひとり異なります。大切なのは、「頑張ればできるはず」と考えるだけでは解決しにくい困りごとが続いているか、その背景に何があるのかを考えてみることです。

感覚統合療法とは?どんな支援をするの?

感覚統合療法の様子

感覚統合療法は、子どもの感覚の特性や発達の状態を見ながら、遊びやさまざまな活動を通して、感覚をうまく使いこなしながら、身体や心の働きを育てることを目指す支援です。

ただし、感覚統合というと「身体をたくさん動かす療育」をイメージするかもしれませんが、道具を使ったり、ただ運動をすればよいわけではありません。

重要なのは、「何をするか」だけではなく、その活動がその子にとってどのような意味を持つのかということです。

感覚統合療法は
=「運動」ではない。
子どもを見て、活動を考える

感覚統合療法では、遊具を使ったり、身体を動かしたりする活動がよく行われますが、重要なのは「何の運動をするか」ではありません。同じ遊びでも、その子が今どのような状態にあり、何を経験する必要があるのかによって、活動の目的や方法は変わります。

一見すると、子どもが楽しく遊んでいるように見える支援でも、 その裏側では、子どもの動きや表情、取り組み方などを観察し、「今のこの子には何が必要なのか」「どの程度の難しさなら、自分からやってみようと思えるのか」を考えているのです。

そして、子どもがどう感じているのか、どの程度なら取り組めるのかといった反応も見ながら、活動を組み立てていきます。

  •  

    バランス感覚

    バランス間隔
  •  

    スクーター(力加減)

    サーキット遊び
  •  

    感覚遊び

    感覚遊び

「楽しい」「やってみたい」が出発点!

一般的に「療育」や「支援」と聞くと、大人が考えたプログラムを子どもにやってもらう、あるいは「やらせる」というイメージを持たれる方も多いと思います。

しかし、感覚統合療法では、子ども自身が「楽しい」「やってみたい」「やってよかった」と感じながら活動に取り組めることを重視しています。

1

子どもが「やってみたい」と思って、自分から活動に参加する。

2

やってみた結果、「できた」「楽しかった」と感じる。

3

「もう一回やってみたい」と思う。

この循環が、子どもの成長を支えていきます。

感覚統合療法では、身体機能だけを切り離して考えるのではなく、心と身体が一体となって動いていくことを大切にしています。「心が動くから身体も動く。身体が動くから、また心も動く」。それこそが、子どもの発達を支える土台となるのです。

「できた」が
子どもの自信になる、
子どもの発達と
感覚統合の関係。

感覚統合療法を通して生まれる変化は、身体の動きだけではありません。大切なのは、子ども自身の「自分にもできる」という感覚です。できることが少しずつ増えていくことで自信が生まれ、これまで避けていた活動に挑戦したり、新しいことに参加したりするきっかけになることがあります。

一方で、成長の過程では、思うようにいかない経験もあります。だからこそ、「できた」という成功体験だけでなく、「うまくいかなくても、もう一度やってみよう」と思えるような、失敗から立ち直る経験も大切です。

「できた」→「自信がつく」→「やってみよう」→「新しい挑戦」→「できた」→「自信」→「もう一度やってみよう」→「うまくいかない」→「自分の特性とうまく付き合う」の循環図

支援を求める子どもの中には、それまでにうまくいかない経験を重ねてきた子どもも少なくありません。

特性そのものをなくすのではなく、自分の特性とうまく付き合いながら、自分らしく生きていく力を育てることも、発達の一つなのです。

※感覚統合理論は、療育や発達支援のさまざまな実践の基盤として活用されています。なお、感覚統合療法は、専門的な研修を受けたセラピストが一定の基準に基づいて実施するものであり、感覚統合理論に基づく支援とは区別されます。

感覚統合を知ることは、
子どもの見方を知ること

伊藤祐子先生インタビューの様子

感覚統合について知ると、子どもの行動を少し違った視点から見られるようになります。

「どうしてできないの?」「もっと頑張ればできるのでは?」と考える前に、「この子にとって、何が難しいのだろう?」と考えてみることが大切です。感覚の感じ方や身体の使い方だけでなく、活動や環境との組み合わせが影響していることもあります。子どもを変えることだけを考えるのではなく、その子が過ごしやすい環境や関わり方を一緒に探していく。これは、療育の場だけでなく、家庭や園、学校など、子どもを取り巻くさまざまな環境にもつながる考え方です。

だからこそ、気になることがあれば、一人で答えを出そうとする必要はありません。療育や支援には、一つの正解があるとは限らないので、合わないと思ったら場所を変えてもいい。迷ったときには専門職や療育者に相談してもいい。困ったときは一人で抱え込まず、専門職や療育者と一緒に、その子に合った方法を考えていきましょう。

関連記事

関連記事

どんな療育がいい?子どもに合った支援の見つけ方

記事を見る

相談・見学をご希望の方へ

「少し気になることがある」
「子どもの様子について相談してみたい」
「実際の療育の様子を見てみたい」
少しでも気になることがあれば、まずはお気軽にご相談ください。

「少し気になることがある」
「子どもの様子について相談してみたい」
「実際の療育の様子を見てみたい」
少しでも気になることがあれば、
まずはお気軽にご相談ください。

見学・無料体験・資料請求 お問い合わせ