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『新 幼児と保育』に汐見稔幸先生と大井の対談が掲載されました。 2018.02.09

弊社社長 大井安治が自身の母校、白梅学園大学を訪ね、恩師である汐見稔幸先生にこれからの「園長の役割と期待」について話を聞きました。


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プロフィール


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汐見稔幸先生
白梅学園大学学長、東京大学名誉教授、日本保育学会会長。専門は教育学、教育人間学、育児学。2017年告示保育所保育指針改定の検討を行った厚生労働省社会保障審議会児童部会保育専門委員会の委員長を務める。近著に指針・要領を解説した『さあ、子どもたちの「未来」を話しませんか』(小学館)。



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大井安治
HITOWAキッズライフ株式会社 代表取締役。銀行に約20年勤務。女性が結婚・育児のため辞めていく現実に社会的インフラの課題を感じ、自ら働く女性支援に携わることを決意。独学で保育士資格を取得後、白梅学園大学大学院にて修士課程修了。
2017年7月より同社代表取締役。




保育園経営者が聞く これからの保育に期待される「園長の役割」とは?

大井:2017年3月までの3年間、白梅学園大学で保育を学ばせていただき、いま、保育の現場に携わっています。そこで感じているのは、園長によって園のあり方が大きく変わるということなんです。

汐見:80年代、90年代あたりから、学校は牧歌的にやればいいんだよ、という時代が少しずつ終わっていって、ものすごく細かくシステム化されるようになってきているんですよね。それぞれの先生に任せておけばよかったことが、少しずつできなくなってきた。その結果、システムを動かすトップが、システムのエレメントである先生たちをどういうふうに扱うかによって、組織のあり方が大きく変わる時代になってきているのだと思います。これは保育園や幼稚園でも同じで、改定された保育所保育指針には、施設長の役割がかなり細かく書き込まれています。組織を運営する責任者として、多面的な活動をしなくてはいけなくなってきているのですね。




システム化が進む今後園長に求められる役割はより多面的に

大井:保育園、幼稚園というのは、ぼくはひとつの家、家庭だと思っていまして。その「長」が、園児や保育者とどうかかわるかということがとても重要だと思うのです。

汐見:いい父親とはなんだと問われたときにワンタイプで語れないように、こういう園長がいい園長だというのは、かならずしも決められないですよね。結果としてみんなが働きやすい、保護者が信頼してくれる、そういう園に上手に持っていけるということなのかなと思います。大井さん自身は、いまの時代の園長として、少なくともこれはできたほうがいいなと考えていることはありますか?

大井:園長に限らず保育者すべての専門性ですが「子ども理解」です。保育が子どもの最善の利益を考え、成長を徹底的にサポートする仕事だとするならば、子ども一人ひとりをしっかりと理解する力がやはり不可欠ではないかと思っています。

汐見:おっしゃるように、子どもの気持ちを深く察し、共感し、その気持ちに応答していく、その感受性が、やはり大事なんじゃないかと思いますね。問題のあった子どもに対して非常に厳しく接する園長やベテラン保育者がいます。「いま厳しくしないとこの子はだめになる」という論理なんですけど、子どもの気持ちはまったく察していないということがあるんですよ。やってはいけないことかもしれないけど、そのときの子どもには、それぞれの気持ちがある。それをまず受容して共感して、応じてあげようよと。子どもの心のひだの部分に入っていって共鳴するという力が保育者には必要だし、園長自身がそういう気持ちをしっかり持っていないといけないと思いますね。

大井:はい。さらに、スタッフである保育者を育てる力というのも、園長には必要ですよね。保育の現場では、新卒からプロとして働かなければならないという現状があります。得手不得手も個々に違う。それをどう育て、まとめていくのかが難しいと感じています。

汐見:園長というのはスポーツのコーチ役に似ていると思うのです。保育者一人ひとりをしっかり観察して、その人のよさを最大に生かしていくコーチングをすれば、伸びていく可能性がある。子どもの相手はそんなにうまくないけど、保護者の相手はうまいという人もいますからね(笑)。それを生かそうというわけです。園長自身も、それをおもしろがってくれればいいのですけどね。

大井:保育者になろうと思う人は、子どもの成長を見ることがモチベーションの源泉にあると思います。そう考えると、保育者のよさを引き出し、人としての成長を見守ることも園長の大きなやりがいにつながると思います。




保育者一人ひとりを伸ばし、生かすことも園長の大きなやりがいに

汐見:ひとつヒントになると思ったのですが、ピーター・ドラッカーが『非営利組織の経営』という本の中で、そういう組織を運営するために大切なのは「ミッションを持ち続けること」だといっています。いまある現状をもっとよくしよう、もっと上を目指そうという理想を、園長がつねにもって語っていると、その姿勢に、だんだんまわりが共鳴していくというのかな。子どもの最善の利益というのは、子ども自身が「生きるっていいな」と思うことがベースにあるわけじゃないですか。そのためには、「生きるっておもしろいな」という大人が、まわりにいなければいけない。

大井:そうですね。

汐見:企業の場合は営利を追求するという点で、ひとつの矛盾にぶつかると思うんですが、企業を示すエンタープライズという言葉は、本来の意味は「進取の気風」、つまり、夢を持つということなんです。利益のために利益を上げるのではなく、夢を実現するために利益を追求する。「子どもの最善の利益が守られるような社会をつくりたい、そのためにわれわれは保育園を経営するんだ!」というようなスローガンを持ち続けることも、大事なのではないかと思いますね。

大井:はい。われわれも子どもの最善の利益を徹底的に追求するというということに関して、すごく真剣に考えて行動する集団でありたいと思います。園長がリーダーとなって、それを一つひとつの園で実現していけたら、とても素晴らしいことだと思っています。


※「新幼児と保育 12/27発売 2/3月号掲載」


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